第56章 最終節:第二十訓
総悟の傷もすっかり癒え、屯所内に平穏な時が流れる
そんな中
俺はいつも通りトシの部屋で机を並べ書類に筆を走らせる
そしていつも通り総悟は俺の膝を枕に変なアイマスクをつけて居眠りをする
そう、これももはやいつも通りの光景
退院してからというものこうして毎日ここに居眠りをしにくる
初めのうちは、仕事に戻れだの、邪魔だのと小言をもらしていたが今に至ってはもう見慣れた光景になっていた
だが、見慣れた光景になっていたのはどうやら俺だけだったみたいだ
「総悟、テメェ…!毎日毎日居眠りしに来やがってっ……!おい!見回りはどうした見回りはっ⁉︎」
「今は自宅警備中でさぁ」
総悟はアイマスクも外さずしれっとそう返す
またそのアイマスクが人をおちょくってるようにしか見えない顔で余計にトシを苛立たせる
「ニートかテメェはっ⁉︎つーかアイマスクつけたままでどうやって警備すんだよっ⁉︎何も見えてねーだろォが‼︎」
はぁ…始まった
二人の攻防戦の幕開けだ
これももはや見慣れた光景
俺は無視を決め込み書類に集中することにした