第53章 最終節:第十七訓
「ちょっと二人共‼︎さんが困ってるじゃないですかっ⁉︎」
案の定優しい新八くんは間に入って二人を止めてくれた
「んだよ新八〜。お前だって本当はのチャイナ服姿見てぇんだろ?」
「なっ⁉︎いい加減な事言わないで下さいよっ‼︎」
新八くんは何故か耳まで真っ赤になっていた
「そうアルよ。このムッツリが」
「誰がムッツリだァァァァァ‼︎」
ギャーギャーと三人のいつもの口争が始まった
………もうこの服でいいや
今のうちにお暇するか
そっと玄関のドアに手を掛けた時
銀にぃに呼び止められた
神楽ちゃんと新八くんは未だ口争を続けている
『何?』
銀にぃは何も答えずただ黙って俺を見下ろす
すると突然、銀にぃは体を屈めて俺の首筋に顔を埋めた
『なっ、何⁉︎擽ったいんだけどっ⁉︎』
銀にぃのモサモサの髪が顔に当たり擽ったい
それから、チクっとした痛みがさした
「虫除けだ。じゃあな。服はいつでもいいからよ」
そう言って踵を返し、リビングに戻っていった
何だったんだ?
首筋のチクっとした部分を指で摩ると少し熱を持っていたーー