第52章 最終節:第十六訓
「お、おい…そろそろ総悟を病院に連れてってやらねぇか…?」
トシが控えめに声をかけた
「銀ちゃん、何も見えないアル」
「どうして僕まで…?」
「オメェらには刺激が強すぎるだろ?保護者の義務だよ」
どうやら銀にぃは神楽ちゃんと新八くんに目隠しをしてくれていたようだ
『そうだね。総悟、立てる?』
俺は総悟の腕を肩に回し体を支えながら立ち上がる
が、やはり俺の身長では総悟の体を支えるのはキツイ
それを見兼ねたトシは
「原田、総悟を病院に連れてってやれ」
了解です、と俺と交代して総悟を担ぎ車に乗せた
残された俺はトシに向き直る
トシの気持ちに返事をしないと……
『トシ……あの、おれ……』
「いい、お前の気持ちは十分わかった……それよりお前、その格好で病院に行くつもりか?」
トシに言われ自分の格好に目をやる
全身返り血がベットリついてこれじゃどっちが怪我人が分かりゃしないな
『ははは、そうだね。一度屯所に戻って着替えてから向かうよ』
「だったら俺の家でシャワー浴びてけよ。その方が近いだろ?」
『そうだね。じゃあそうさせてもらうよ』
早く早くと神楽ちゃんに手招きされ、俺は銀にぃ達の後に続き万事屋に向かうーー