第51章 最終節:第十五訓
「…さ、ん…」
さんは駆け寄って俺の体を抱える
『総悟、酷い傷だ。早く病院に行かないとっ!』
待ってくだせィ…
さんに伝えたい…俺の気持ち…
俺を抱えながら立ち上がろうとするさんの手を取る
さんは目を丸くして俺の方を見る
「俺、…さんに…伝えたい…こと、が…」
そこまで言ってさんは、自分の人差し指を俺の唇に押し当て言葉を止めた
そしてその指で俺の顎をクイッと持ち上げる
『俺も総悟に伝えたい事がある』
そう言って真紅の瞳が俺を捉えて逃がさない
次の瞬間
「え……っ?」
一瞬何が起こったのかわからなったが
ようやく理解した
俺の唇とさんの唇が重なったのだ
体中の熱が唇に集まってくるような感覚になる
それから、さんは少し名残惜しそうに唇をそっと離した
そして
『好きだよ、総悟……愛してる』
いつもより少し低音の声で囁いた
そして、フッと艶やかな笑みを溢す
普段の可愛らしいさんとは違って、男の色気のようなものを放つさんはなんだかカッコよくて…
きゅん
と俺の心臓は音を立てた
まさかドSの俺が攻められるなんて…っ!
さんの予想外な行動に俺はショート寸前だったーー