第50章 最終節:第十四訓
「あの日、俺たちの家を襲ったのは天人なんです…家を焼かれ、義兄さんは殺され、俺はとどめを刺される寸前。その時に駆けつけてくれたのが沖田さんなんです!沖田さんは天人を全て殲滅し、瀕死の俺を病院まではこんでくれて、俺は一命をとりとめました」
双葉は驚愕のあまり色を失っていく
「そんなっ…⁉︎……だったらどうして否定しなかったんですかっ…?」
「俺の到着が、遅れたことでアンタ、…の旦那が死んだのは、事実なんでねィ…」
息も絶え絶えに言葉を紡いだ
総悟の言葉に双葉は息を飲み、泣き崩れた
「私は…なんて事をっ…⁉︎沖田さん、謝って済むことではありませんが、ごめんなさいっ……私、ちゃんと罪を償います」
双葉さんは立ち上がり真選組の元へ歩いていく
そしてトシの前で両手を揃えて差し出した
「フンッ!逃げる気のねぇ奴に手錠は必要ねぇ。ザキ、こいつを屯所まで連れて行け」
双葉さんはこちらに向かって一度だけ頭を下げ、ザキに従った
その間、弟さんの横を黙って通り過ぎる
「姉上っ⁉︎」
振り向きはしないものの足を止める
「私にはもう…姉上なんて呼ばれる資格、無いわ…」
「姉弟に資格なんて必要ありませんよっ!俺はずっと姉上のことを待ってます!これからは二人で歩んで行きましょう!…だって姉上は、かけがえの無い家族なんですから」
双葉は堪らず弟の方へ駆け出し、力強く抱きしめた
「宗ちゃん…っ‼︎…………ありがとう、宗ちゃん…」
それから双葉はパトカーに乗り込み、サイレンの音は遠のいていったーー