第49章 最終節:第十三訓
「騙してた女を庇うたぁ馬鹿か?よっぽどその女に惚れてるようだなぁ」
男はニヤリと笑う
「そうよ……っ!私はあなたに復讐することだけを考えて生きてきたの。これでもう私はいつ死んだって構わないんだからっ!」
俺は倒れかかっていた体を起こし、双葉の胸ぐらを掴んだ
「生きたくても生きれねぇやつもいるんだっ!二度とそんな言葉吐くんじゃねぇ」
双葉の瞳に一瞬戸惑いの色が見えたがそれも直ぐに消え、俺の胸を叩く
「な、なによっ!あなたに言われたくないわ!私の夫も弟もあなたが殺したくせにっ!」
「だからお前の弟はーー」
「おいおい、俺たちの存在忘れてもらっちゃ困るぜぇ」
俺の言葉は男によって遮られた
そうだった
攘夷浪士達に囲まれる中、俺は出血多量で意識を保つのでやっとの状態
これは絶体絶命ってやつですねィ
他人事のようにそんなことを思った
「おい、女。お前はこいつが死ねばそれでいいんだったよなぁ?だったらこいつをしっかり抑えてろ!俺がその首刎ねてやらぁ!」
双葉は、わかりましたと正気のない声で返事をし、俺の体を後ろから拘束する
普段なら簡単に降り解けるそれも今はそんな力さえ残されていない
まぁ、振り解けたとしても逃げ切る勝算もねぇが
まさかこんなとこで最期を迎えるとは思ってもいやせんでしたねィ
まださんに大事なこと伝えてねぇのに……
さん、俺はアンタの事が……