第48章 最終節:第十ニ訓
言蔵宗介は少し苦い顔をしてもう一度腰を下ろし話し始めた
「……自分と姉上の旦那は元攘夷志士なんです。なので幕府を恨む気持ちは無いにしろ、幕府に期待もしていない。そんな俺達はは自分の国は自分で守ろうと悪しき天人達を懲らしめ回っておりました。ですがある日、運悪く自分達が懲らしめた天人が春雨の一味だったのです。そして奴らは仕返しにと自分たちの家を襲撃してきて、家を焼き払い、義兄は殺されてしまいました。幸いにも姉上はその時不在だったので奴らの手にかかることはなかったのですが、それ以来姉上は姿をくらませています…だから姉上は天人を受け入れた幕府をきっと恨んでいると思うんです。だから真選組で働くなんて考えられませんっ!」
言蔵宗介は太ももの上で両拳をギュッと握った
「なるほどなぁ〜。話が見えてきたぞ」
「どういうことネ銀ちゃん?」
「つまりは自分の大切な人を奪った幕府に復讐する為に真選組に近付いたんじゃねーか?」
「そんなっ⁉︎でもあの時、天人を殲滅してくれて瀕死の俺を病院にまで連れてってくれたのは、事件を聞いて駆けつけた真選組の沖田さんなんですよっ⁉︎」
「だが、そのことをお前の姉ちゃんは知らなかったら?焼き払われた家の前に立つのが天人を殲滅した後の総一郎くんだったらどう思うよ?」
「姉上は沖田さんがやったと勘違いしてっ⁉︎」
「あぁ。それに今、総一郎くんとお前の姉ちゃんが倉庫街で姿を消しだたと報告があってが捜索に出てる」
「それってさんも危ないんじゃっ⁉︎」
「銀ちゃん私たちも行くネ‼︎」
「あの、自分も連れて行って下さい‼︎姉上を止めないと!」
俺たち四人も倉庫街へ向かったーー