第47章 最終節:第十一訓
ザキが見失ったのはこの辺りか
こんな倉庫街じゃデートってことはまず無いな
とりあえずこの近辺を捜索していると男の話声が聞こえた
「しっかし女についてノコノコついて来るとはなぁ」
物影に身を隠しながら声が聞こえた方に近付き様子を伺う
男が二人、入り口を見張るように立っている
男の腰には刀が携えられている
「ほんとマヌケな一番隊隊長様だよ。真選組も落ちたもんだな」
ガハハハと下品な笑い声が響く中
俺は携帯を取り出しダイヤルを押す
Prrrrrr……
「おぅ、。総悟は見つかったか?」
『あぁ、廃倉庫の前で攘夷浪士らしき人物を発見。場所はさっきザキが言ってた倉庫街の一番奥。出動頼むよ』
「了解。お前は俺たちが到着するまでそこで待機してろ」
『ごめん、それは無理だ。もう突入しちゃってる』
携帯を耳に当てながら、すでに男達に向かってダッシュしていた
何だとっ⁉︎と電話越しにトシの怒鳴り声が聞こえるが御構い無しに男達に突っ込む
俺に気付いた男達も刀を構える
「な、何者だっ⁉︎」
「こ、こいつ真選組のっーー」
ザシュッ、ザシュッ
男が言い終える前に斬り伏せる
「く、くそっ…!」
地面に這いつくばる男の一人に刀を突きつける
『ねえ?総悟はここにいるのかな?』
俺は努めて優しい笑顔で問うたつもりだが、男達は顔を青くして首をコクコクと縦に振った
『そういう訳で俺は先に入るから早く来てね、トシ?』
後ろで、出動だーっ‼︎と息巻く声が聞こえる中
電話を切り携帯を懐に戻し倉庫内に足を踏み入れるーー