第46章 最終節:第十訓
「そいつは…悪ぃことした…な…だが、アンタの弟はーー」
「お喋りはお終いだぁぁぁぁぁぁあ‼︎」
俺の声は
ヒュン
と刀の空を切る音で遮られた
刀は俺と双葉の間に振り下ろされた
「ちょっと!今は私が話しているんです!」
「うるせぇこのアマァ‼︎邪魔するようならお前から叩き切ってやるよ。愛しい旦那と弟に早く会いてぇだろ?コイツをここに誘き寄せられたんでお前はもう用済みだァァァ‼︎」
男は双葉目掛けて刀を振りかざす
ザシュッ
俺は一瞬で双葉と男の間に入り、背中で振り下ろされる刀を受けた
斬られた所からは尋常じゃない程の血が溢れ出てくる
立っていることもままならなくなり双葉に倒れこんだ
「な、んで…?」
「その顔が…血に染まる所は、見たくなかったんでねィ……アンタの顔、俺の姉上にソックリなんで…さぁ…」
俺は姉上を救えなかった
だから姉上にソックリなこの人を守ることで罪滅ぼしをしようとしたのかもしれねぇ…ーー