第43章 最終節:第七訓
さっきの二人の光景が頭に焼き付いて離れない
クソッ、胸糞悪ぃ
やっぱりあんたもアイツを選ぶんですかィ……
「…さん?沖田さん?」
双葉さんの声に我にかえる
今は、俺に会わせたい人がいるとのことでそこへ向かってる途中だった
「どうかしましたか?」
「何でもありやせん。ただボーッとしてやして」
「フフ、そうでしたか。次こっち曲がりますよ」
そう言って俺の腕をひく双葉さんは何だか楽しそうだ
「何でそんなに楽しそうなんですかィ?」
双葉さんは足を止めて振り返り、優しい笑顔を向けた
「私、沖田さんと同い年くらいの弟がいるんですけど、少し沖田さんに似てるんです。それでつい昔を思い出しちゃって」
そう言って笑う双葉さんに自分も姉上の姿を重ねていた
「じゃあ会わせたい人ってのはその弟さんで?」
「いえ、弟はもう……さぁ、沖田さん!こっちこっち」
双葉さんの表情に一瞬影が落ちるがすぐに元の明るい笑顔で俺の腕を引いた
俺はかける言葉が見つからず、腕を引かれるままに足を動かしたーー