第42章 最終節:第六訓
思わず逃げ出してしまったがこの書類を総悟に渡さなければいけないことを思い出し、トシの部屋には帰らず縁側に腰を下ろした
さっきの二人の会話が頭の中で反芻する
〝私とお付き合いして頂けませんか?〟
〝もちろんでさぁ〟
涙がポロポロ溢れ出し、握りしめた書類を濡らしていく
あぁ、俺、総悟のことが好きだったのか…
やっと気づいたよ自分の気持ちに…
でも今更気付いたってもう手遅れだ
ふと、こちらに歩いてくる人の気配を感じた
足音は俺の側で止まった
俺は涙を拭い笑顔をつくって足音のした方へ顔をあげると
『トシ…っ⁉︎ご、ごめんごめん!ちょっと息抜きしてた。すぐ戻るよ!』
立ち上がろうした俺の肩をトンと押し戻して、自分も隣に腰を下ろした