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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



「ユウは知ってたんさ?南が今日出勤するってこと」

「ああ」

「じゃあ止めろよ!」

「止めた所でこいつが言うこと聞くかよ」

「周りがそんなんだから仕事中毒になっちまうんさ。普通じゃねぇからな、異常だからな南のソレ!」

「っせぇな。じゃあテメェが張り付いて見張ってりゃいいだろ。椎名馬鹿だろうがお前」


「………」



(なんだろう…凄く、子供扱いされてる気分)



目の前で言い合うラビと神田を交互に見ながら、零れそうになる溜息を南は呑み込んだ。
心配されるのはあり難いことだが、相手は未成年。
そんな彼らに四六時中見張ってもらわなければならない程、異常だとは思っていない。
少しばかり仕事熱心なだけだ。



(科学班では当たり前のことだし。うん)



そう言い聞かせるように何度も頷く。
その科学班自体が異常なのだと主張するラビの言葉は、スルーして。

ちらりと見下ろした腕時計の針は、もう昼間近。
そろそろ出勤しなければならない。



「け、けけけ喧嘩は駄目よ二人共…!」

「そうっスよ!落ち着いて下さいっス…!」

「俺は落ち着いてる。こいつが煩いだけだ」

「フツーに考えて退院日に出勤なんてあり得ねぇから。なんでそこで疑問に感じねぇんだよユウは。阿呆なんさっ?」

「…あ?」

「わっ。ま、待って神田!此処で暴れたりしないでよね!」

「そうですよ、此処南さんの部屋なんですから」

「全く…」


「………」



やれやれと呆れ顔で溜息をつくマリの背後に、無言でそろりと後退る。
やんやと騒ぐエクソシスト達をしかと目で捉えつつ、南は後退しながら自室のドアノブを後ろ手で回した。
この様子なら、こっそり職場へ向かっても恐らくバレはしまい。



(ありがと、皆。後で手伝いのお礼はするから)



そう心の中で一言投げかけて、南はそうっと開いたドアの外へと背中から抜け出した。










「何処へ行かれるんですか?」










否。
後ろから伸びた誰かの手が、がしりと南の両肩を掴んで失敗した。



(……え。)



有無言わさぬ冷たい声を添えられて。

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