第80章 再生の道へ
「何女性を盾にしてるんですかそれでも男ですか、みっともない。出て来いそこから」
「敬語!最後敬語外れてるからアレン!なんかめっさ怖い!」
「とりあえず三枚下ろしでいいか」
「って何竹刀構えてんのユウ!?それで三枚に斬れねぇから!つーか人は下ろしちゃ駄目だから!」
「う、わっちょッ本当無理…!私無理!ラビ頑張って!」
「やだ見捨てないで下さい!南となら地獄行きでも我慢するから!」
「どうせ逝くなら私は地獄より天国がいい!」
南の背中に張り付くラビと、盾になった南が顔を青くして喚く。
そこに先程喧嘩をしていた時のように、殺気立った気配を向けるアレンと神田。
「なーんか、もう…皆で仲良しだよね、あれ」
「えっあれ仲良いんスかっ?」
「本人達はそうは思ってないようだがな…」
「喧しいがのう」
そんなエクソシスト三人組と科学班研究員一人を傍観する、ジョニー達の視線は生温い。
止めるのも野暮だと肩を竦めて笑うジョニーに、苦笑混じりのマリや呆れ顔のブックマンも同じ思いなのだろう。
ただ一人チャオジーだけが、驚いたようにジョニーとラビ達を交互に凝視していた。
あれが仲良しだと言うのだろうか。
正に一触即発の雰囲気なのに。
「南ー。その喧嘩終わったらまた声掛けてよ、採寸の続きするからぁー」
「えええ…!待ってジョニー見捨てないで!」
のんびりと声をかけるジョニーに、必死の形相を向けてくる南はどう見たって顔面蒼白。
仲良しごっこをしているようには見えない。
「…大丈夫かなぁ…」
少し不安げに、未だに緊迫した雰囲気のアレン達を見てチャオジーが呟く。
「あ。」
と、その黒い目が一点でふと止まった。
それは言い合うラビ達の向こう側。
其処に、知った顔を見つけて。