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科学班の恋【D.Gray-man】

第14章 デンケ村



「シャドー・ピープル?」

「うん。有名な都市伝説だよ」



前以ってコムイ室長から今回の任務の説明は受けていた。
目的地に向かう列車の中で、関連性のある資料をアレン達に配る。



「"影の人々"、ね…」

「なんですか、それ」

「影のように然るべき輪郭はなくあやふやな存在として、世界各国で目撃されてるモンさ」



ぽつりと呟くラビの言葉にアレンが首を傾げれば、流石知識豊富な頭。
すらすらと私に代わって、ラビが説明をしてくれた。



「一般的には、人の形をしているものが多く目撃されてるんだよ。だから"シャドー・ピープル"」

「えーっと…それって、つまり…心霊現象的な…?」

「イノセンスの怪奇現象って、なんでこうお化けの類が多いんさ…」



その説明に付け足して言えば、ずーん、とお互いに肩を落として落ち込むエクソシストの二人。
そういえば二人共、心霊系が苦手だったっけ。
かく言う私も平気な訳じゃないんだけど…。

次々と人が消えていく行方不明が絶たない村があるらしく、其処でよく目撃例が上がっているのが、その黒い影。
それがなんなのか。
人間の手によるものなのか、はたまた別のものなのか。
もしかしたらイノセンスによるものなのか。
それを調べに行くのが今回の任務内容だった。
ラビが言ったように輪郭のないあやふやなものだから、それを捕まえるべく科学班も同行が必須だったらしい。



「イノセンスなら絶対に現象には理由がある。化学で証明できるものです」

「流石科学班」



励ます意味でもきっぱりと応えれば、おお、とラビが尊敬の眼差しを向ける。

…普通なんだよね。
他の人と一緒にいる時は、特に。
私自身でさえ、あの夜のことは夢だったのかなって錯覚しそうになるくらい。

前にブックマンは周りに同情や慈悲を向けちゃいけないからって、感情を押し殺すことも大事だって、そうラビが教えてくれたことがあったけど…。
私はこんなに一人もやもやしているのに…ラビは、そういう気持ちにならないのかな。

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