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科学班の恋【D.Gray-man】

第77章 生と死







「───ゴフッ」



暗い、まるで水の底のようだった敵のノアの方舟から飛び出す。
息を吸えば、方舟に入る一瞬前に喰らった衝撃波で、口から僅かな血が漏れた。

全く。
僕に気付いていて尚、攻撃の手を一瞬だって止めないんだから。



「……タチが悪い…」



ノアに人質として捕われていたミランダさんを抱えたまま、眼下に目を向け思わず呟けば。



「信用してやってんだよ、馬鹿弟子」



僕にダメージを与えた張本人が、薄く口元に笑みを作って応えた。

それは信用じゃないです、師匠。
ただの暴力です暴力。



───ブツンッ



「閉じたか」



目の前に広がっていたノアの方舟ゲートが閉じる。
生成工場の卵は、師匠達と僕の攻撃で方舟内で破壊した。
守るべきものがない今、あのノアも此処にとどまる意味はない。
逃げ出したんだろう。



「アレン!ミランダは…ッ」

「大丈夫です、外傷は負ってません」

「…ぅ…」



ノアから救出したミランダさんを、駆け寄ってきたマリに預ける。
ミランダさんの口から薄らと声が漏れる。
水の塊と化していたノアの体内にずっといたんだ、大量の水を飲んでいるはず。



「大丈夫、意識を失っとるだけだ」

「よかった…」



でもどうやら気絶していたことが幸いしたらしく、そう水も飲んでいないようだった。
ミランダさんを診て告げるブックマンの言葉に、思わず安堵の息をつく。

つくと同時に、はっとする。



───そうだ。



「マリ、ブックマン。ミランダさんを頼みます。僕は南さん達の所へ…」






───キンッ






「!」



置いてきた南さん達を思って腰を上げれば、同時に左眼が勝手に発動した。
強い反応が左眼のスコープに示される。










───クス…










聞こえたのは…小さな笑い声のようなものだった。










───クス…クスクス…










ひとつ、ふたつ。
笑い声が増えていく。
まるで赤子のような、高い声で。



「…?」



この声…何処から…?

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