第77章 生と死
「ジョニー、今出してやる!待ってろ!」
「しっかりしろ、ジョニー!」
咄嗟の結界が効いたらしく、最後まで飲み込まれなかったジョニーの下半身をマービンさんとバク支部長が引っ張り出す。
「大丈夫か!?」
「げほっ…ぁ…」
助け出されたジョニーは、満身創痍ながらもちゃんとその目にマービンさん達を映していた。
よかった…っ
「し…支部、ちょ…タップが…」
その口から漏れた、弱々しい言葉。
それにはっとして敵の方舟へと目を向ければ。
「タップ…!」
見えたのは、正に敵の方舟を潜って去ろうとしているタップの姿。
駄目、タップ。
そっちは違う…!
「レニー!上のスカル共を閉じ込めろ!」
「わかったわ!」
咄嗟にバク支部長が、持っていた結界装置をレニー支部長に放り渡す。
レニー支部長が研究室の出入口に向かうと同時に、ジョニーはマービンさんとバク支部長の手で運び出されていた。
───…ニン…ゲン…
「!…また…っ」
再び聞こえたノイズ音。
今度はさっきより、ずっと近くで。
「…この、AKUMAから…?」
何処から聞こえてきたのか、定かではないけど。
…なんとなく、このAKUMAの残骸のような気がした。
───ニンゲ…ン…
感情なんて伝わらないただのノイズ音なのに、まるで欲しているかのようにも聞こえるそれに、ぞわりと鳥肌が立つ。
「くそっ…結界が…!」
「班長、電池がもう…ッ」
ピキ…ッ
僅かな亀裂音。
それはAKUMAを囲っている結界のシールドからだった。
まずい。
「走れっ!」
「急いでこいつから離れろ!」
ビシッ
小さな亀裂音が大きく嫌なものへと変わる。
「南!」
「俺が行く、マービンはジョニーを…ッ」
ジョニーを運びながら私を呼ぶマービンさんに、応えたのはハスキンさん。
こちらに駆け寄ってくるハスキンさんを目にしながら、同時に。
ガシャンッ…!
その背後に見えていた結界が、打ち破られるのを見た。