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科学班の恋【D.Gray-man】

第77章 生と死



吹き飛ばされたジョニーの体は、合体して巨大化していたAKUMAの残骸に叩き付けられて崩れ落ちていた。



「タップ…ッ行っちゃ…駄目だ…!」



巨大な人の顔のような形をした、AKUMAの残骸。
その眼球にぶつかってずるずると崩れ落ちると、ジョニーの体の血がその眼球にべっとりと張り付く。
それだけ沢山の血を流しているのに、それだけ瀕死な体なのに。
それでもジョニーは、尚も立ち上がろうとしていた。
敵の方舟に消えようとしている、人形に変えられたタップに手を伸ばして。



「ジョニー!…ってマービン!?お前らなんで此処に…!」

「俺らも同行しますよ!同じ科学班でしょう!」



リーバー班長達を追えば予想通りの反応に、マービンさんは笑って応える。



「だからって、南の安全を…ッ」

「ジョニーと、一緒に退避します…っ置いて、いきません…っ」



なんとかそうマービンさんの腕の中から言えば、班長の顔が歪む。



「ったく…!」



溜息混じりの悪態を一つだけついて、それ以上は何も言われなかった。
…多分、後でマービンさんと一緒に怒られるんだろうな。
でも此処で無理に引き止めないところは、きっと班長の優しさ。










───…ニ……ン…










「…?」



ふと、何か聞こえた気がした。



「どうしたっ?南」

「…今」



ノアと元帥達の戦闘音を後方に捉えながら、微かに聞こえたノイズのような音。
思わずマービンさんの腕を掴む手に力が入って、問い掛けられる。

なんだろう、何か聞こえたような…










───…ニ…ゲン…










底から這い出るような、どこか寒気がする微かな声。
"声"と言っていいかもわからない、ノイズ音のようなもの。

…なんだろう。
微かに鳥肌が立つ。










───…ニ…ンゲン…










「…え…?」



今…人間って、聞こえた?

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