第76章 終わりの始まり
「南…っ大丈夫…っ?」
「ジョニー…無事で、よかった…」
ふらふらと歩み寄ったジョニーが南の傍に座り込む。
その姿を見て、ほっと安堵する南の顔。
「バク支部ちょ…ありがと、ございます…ジョニー、助けてくれて…」
「ああ…でも君まで助けることはできなかった…すまん」
南の一番近くにいたのは、バク支部長だった。
それ故に抱える悔しさも大きいんだろう。
苦虫を噛み潰すようなその表情に、それでも南は僅かに首を横に振った。
「助けてくれました、ちゃんと…アレンと私を…AKUMAから…支部長の作ってくれた、結界装置があったから…」
「…椎名…」
「だから…謝らないで下さい」
もう一度首を横に振る南のその言葉に、否定の言葉をかけることなんて野暮だ。
「…ああ」
きっとバク支部長も俺と同じ気持ちだったんだろう。
その口元に僅かに笑みを浮かべると、南の体を支えたまましっかりと頷き返した。
元帥達が来たなら、きっとこの場は大丈夫。
アレンが傍にいてくれているから、俺達にもAKUMAからの危害はない。
あとは───
「……タップ…」
ぽつりと、ジョニーの口から漏れたその声を、俺は捉えることができずにいた。