第69章 夢世界
"またなんか、一人で考え込んでるでしょ"
眉間に皺寄せて、伺うように見上げてくる。
"見てる人もここにいるんだから。何かあるんなら、頼りなさいよ"
頼る?
頼るっテ、何を
誰カに頼らなきゃいけない程、オレは弱くなんてナい
誰にも頼らズ、オレは一人で生きてイく
オレの歩む道に、共に歩む者なんテいなイ
だって"オレ"はブックマン次期後継者だカら
"エクソシストとか、ブックマンとか。そういうの抜きにして"
……抜き、にしテ…?
"私はただの人間だから"
……嗚呼、この声
オレは…知ってル
"体でラビ達を守ることはできないから…せめて心で、守りたいって思うんだよ"
オレより遥かに力のない小さな体で
オレより遥かに何倍も大きな心で
包み込んでくレた、その言葉を
オレは知ってル
"臭い台詞だけど、これ本気。…あ、科学班の皆には内緒ね。絶対からかわれるから"
…言わねぇよ
だってそんなキザであったかい台詞、誰にも聞かせたくないから
オレだけの心に、しまっておキたいと思うから
『…あんがと』
礼を口にすれば、その暗い色の瞳は優しく緩んだ
…嗚呼、この顔
オレの好きな顔だ
リナリーに泣かれんのもキツいけどさ
きっとオレが誰よりも泣かせたくないのは、この人だから