第66章 アジア支部
「はんちょう、あの…たすけてくれてありがとうございます。しごとのつづきをしたいので…おろしてもらってもいいですか?」
「ん?ああ、」
おずおずと頼み込めば、すんなりと下ろされる。
「お前の方こそ、あまり無理し過ぎるなよ?体はまだ子供なんだから、体力だってそうないんだ」
くしゃりと、一度だけ頭を撫でられる。
その行為はいつもの班長のもの。
「はい───」
「リーバー!」
頷きかけた時。
バタバタと足音荒く、科学班の研究室に入ってくる人物が一人。
何かと皆で目を向けると、其処には明るい金髪が見えた。
「あれ、バク支部長じゃないっすか」
「どうしたんです?慌てて」
「またリナリー・リーの写真集でも落としたんですか」
「それならもう見つかった…って違う!」
…うわ。
科学班見習いな立場のシィフ君達に、思いっきり馬鹿にされてる。
一番此処で偉い人なのに。
というか、リナリーの写真集って…まだそんなもの作ってたんですか…バク支部長。
「なんだその目は。違うぞ椎名、あれはかなり昔に作ったアルバム集で…っ」
「わたしなにもいってません」
そして聞きたくありません。
「あー…それよりバク支部長。なんスか?俺の名前呼んでましたけど」
「っああ、」
ぽりぽりと頬を指先で掻きながら苦笑する班長に、はっとしたようにバク支部長の顔が上がる。
「君達、今すぐ本部に戻れ。コムイから連絡があった」
「室長から?」
「なにかいそぎのしごとですか?」
なんだろう。
きょとんとする私達を前に立つバク支部長の顔は、どこか暗く強張っていた。
「クロス部隊とティエドール部隊を除く、ほとんどのエクソシストが…殉死したそうだ」
───え?