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科学班の恋【D.Gray-man】

第66章 アジア支部



「ふぅーむ…」

「どう、でしょう…?」



ウォンさんに案内されて神田と共に向かった先は、刀工のズゥ老師の所。
対AKUMA武器製造者のこの方は、結構なご年齢のご老人。
だけどその過去に上げた名だたる実績は、右に出る者はいない程の凄い人。
そんな方にしげしげと私の検査書を見られて、緊張で体が強張る。
だ、駄目出しされないかな…。



「うむ。まだ手直しは必要じゃが、中々良い目を持っとるのー」

「ほんとですか…っ」

「お前さん、この検査書は初めてなんだろう?伸び代がある分、期待できそうだ」



こちらを見てにっこりと笑うズゥ老師に、つられて笑みが零れる。
まさか褒められるなんて思ってもいなかったから。
これはもしかしたらコムイ室長の言う通り、頑張れば六幻の検査担当させてもらえる程になれるかも…!



「それより六幻の検査もさっさと済ませろよ、爺さん」

「ちょ、かんだっそんなくちのききかた…ッ」

「ほっほっ、気にしておらんよ。昔っからこうだったしの」



私の隣で預けた六幻の検査を催促する神田に、朗らかに笑うズゥ老師の対応は優しい。
昔ってことは、もしかして神田の子供の頃を知ってるのかな?
ジジさんも知ってたくらいだし。



「そうだな…ふぅむ」



催促されるがまま、手にした黒光りする六幻の刃を掲げてじっと見上げるズゥ老師。
それは先程の朗らかさから一変、鋭く真剣な眼差しについ息を呑んだ。

………六幻、壊れてたらどうしよう…。
最悪クビだけは真逃れたいんだけど…。



「うむ。ちゃんと修理できておる。持ってっていいぞ」

「え?」



あっさり。
そう口にしたかと思えば、ズゥ老師は早々と六幻を鞘にしまった。
そのままこれまたあっさりと、神田にそれを手渡す。

…え。
六幻見てたの、たった数秒なんですけど。



「え、ほんとに…?い、いまのでわかったんですか…?」

「ああ」



まじですか。
たった数秒だったんですけど!



「………」



…すみませんコムイ室長、やっぱり無理かも。
こんな秒殺の目利きを持つズゥ老師の腕前、拝見しようにもできません。
ぱっと見てぱっと終了しましたよ。
こんな目利き、私到底持てませんから。

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