第66章 アジア支部
巨大な守り神の憑いた門を潜り、辿り着いた先。
其処は私達の目的地である、アジア支部。
「本部から遥々よく来てくれた」
「ようこそおいで下さいました、皆様」
早速と通された部屋で出迎えてくれたのは、此処で一番偉い支部長であるバク・チャン支部長と、その支部長補佐であるウォンさんだった。
「内容はコムイから聞いている。道中、大変な思いをしたらしいな」
どうやらノアのことも大まかなことは知れていたらしく、労うように声をかけながら、ふとバク支部長の目が私へと向いた。
「…君も色々と大変そうだな」
あ。
なんか同情されてる。
多分、ノアのことじゃなくこの見た目に対して。
「休息を…と、言いたいところだが。神田、君には次の任務がきてるんだ」
え?もう?
「六幻の検査が終わり次第、此処からすぐに任務地へ発ってもらう」
「…チッ」
面倒臭そうに舌打ちしながらも異論はないようで、神田は特に反発もなにもしなかった。
「じゃあわたし、むげんのけんさしょをズゥろうしにみせにいきますね」
「ああ、それなら俺も───」
「いえ。はんちょうはやすんでいてください」
当たり前のように同行してくれようとしたリーバー班長を、強い言葉で断る。
これは今朝から決めていたこと。
譲る訳にはいかない。
「めのしたのくま、ひどいです。さくやわたしが、いろいろめいわくをかけてしまったから…」
きっと昨夜も、あんまり寝ていなかったんだろうと思う。
…というか、眠った私を抱かせたまま一晩なんて…なんて迷惑なことをしてしまったというか…なんてこっ恥ずかしいことをさせてしまったというか…。
…駄目だ、思い出したら顔が熱くなりそう。