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科学班の恋【D.Gray-man】

第63章 葛藤と決断



「よかったのか、リーバー。あの二人を相部屋にして」

「何が」



用意された部屋に着くと早々、ジジが阿呆なことを言い出した。



「曲がりなりにも男と女だぞ?そりゃあ、南の体は今は子供だけどよ。何かあったらどうす」

「ねぇよ、そんなもん」



呆れ混じりに溜息をついて、ジジの言葉を遮る。
神田が南にそんなことする訳ないだろ。
寧ろ南の体にだって、まともに触らないはずだ。

…あんなことがあったんだ。
そんなことするはずがない。



「お前がそう言うならいいけどよ…それで、聞けたのか?南から話は」

「…一応な」

「一体何があったんだよ。あいつの服、ボロボロだったじゃねぇか」

「……アジア支部に着いたら話す」






"大人の遊びだから、未成年は観覧禁止な?"






あんな引き裂かれた服に、あのノアが口にした言葉から連想されることは一つだけ。
だけどそれをジジに言う気はなかった。
俺が言いたくなかったってのもあるが、南だって無闇に知られたくはないだろうし。
それに…ほぼ確信はしているが、明確にはなっていない。

あのノアに何かされたのか。
それを南自身が、語ろうとしなかったから。



列車の中で、南はあのノアに捕まったこともきちんと報告してくれた。
人の体や物を通り抜ける力を持つノア。
自分の体をノアの手が貫通したのを見て、知り得た情報だと教えてくれた。

でもそれ以上は何も語らなかった。

…もしかしたら、何もなかったのかもしれない。
そうだったらいいとさえ願った。

───だが。






"オイオイ、なんだよそりゃあ。南に何が───"

"寄るな。斬るぞ"

"な、なんだよ!聞いただけじゃねぇか!"






昨夜。
南を部屋に連れ帰って、すぐさまシャワーを浴びさせた。
その脱衣所から引き裂かれたチャイナ服を手に戻ってきた神田に、事の重大さを悟ったジジが血相を変えて足を向けた時。
神田は強い殺気を放って、誰もシャワー室に近付けようとはしなかった。

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