第8章 真夜中の訪問
頭も良いし、社交的だし、大人びた顔も未成年らしい顔も持ってるし。
近い年齢層に超絶美形の神田や紳士なアレンがいるから、どこか埋もれちゃってるみたいに思われてるけど…ラビもモテること知らないのかな。
他の女性団員の方々がラビの話してるの、聞いたことあるよ。
リナリー達と同じで、若いエクソシストってだけで注目されるからね。
エクソシストは誰しもがなれる訳じゃない。
"神の結晶"と呼ばれる物質───"イノセンス"に選ばれた人だけが、その力を手にすることができる。
そんな彼らは"神の使徒"と呼ばれている。
私のような普通の人間からすれば、雲の上にも近い存在。
そんな人と仲良くさせてもらってるだけ、私は嬉しいんだけどな。
「よしよし、大丈夫、大丈夫。ラビのこと男性として見てる人は、ちゃんといるから」
ふわふわのオレンジ色の髪を撫で続ける。
こうして慰めていると、なんだか大きなわんこみたい。
名前は兎さんだけど。
「…じゃあさ、南も見てくれるさ?」
「うん?」
頭を撫でていた手首を、ラビの手に掴まれ止められる。
「オレを、男として」
項垂れた顔を上げて、見えた彼の顔はいつもの人懐っこいものじゃなかった。
そうしっかり悟るよりも早く、ぐいっと強く手首を引かれて、
「わっ…!」
バランスを失った私の体は、あっという間にベッドに沈んだ。