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科学班の恋【D.Gray-man】

第57章 鬼ごっこ



「マリアさんは、ちゅうごくしゅっしんのかたなんですか?」

「エエ、マァ」

「じゃあ、おしごとでこっちにきてたとか…」

「ソンナトコロ。南チャンモ、オ仕事デ中国ニ向カッテタンデショウ?」

「はい。リーバーはんちょうから、きいたんですか?」

「エエ。アノ人、素敵ナ方ネ。トテモ紳士デ優シカッタワ」



子供な私の歩調に合わせて、ゆっくり歩いてくれるマリアさん。

ロードのことを思えば、早く班長達の所に戻りたかったけど。
好意で案内してくれているマリアさんを急かすわけにもいかず、雑談混じりに船内を二人で歩いていた。

リーバー班長のことを褒められると、やっぱり自分の上司だから嬉しくなる。
仕事でしか関わったことがないから、プライベートな班長がどんな人かはわからないけど…多分、今マリアさんが言った通り。
優しい人なんだろうなって思う。



「アンナ人ガ仕事ノ上司ナンテ、羨マシイワ」



私も班長みたいな人が上司でいてくれて良かったと思うことは、何度もあった。
それは同じ仕事を扱う科学者としての感情なのか。
それとも…別の感情も混じっているからなのか。



「………」



改めて考えると、はっきりとどちらとは言えなかった。



「ドウシタノ?」

「…いえ」



不思議そうに見てくるマリアさんに、首を振って笑顔を向ける。
駄目だな、こんな時に余計なこと考え込んじゃ。
今は一刻も早く班長達の所に戻らないと。



「いま、どのあたりなんですか?」

「大丈夫、ソロソロ着クカラ」



安心させるような綺麗な笑みを浮かべてくれるマリアさんに、ほっとする。
よかった。
これで問題は一つ解決。
後は、遊びに誘ってきたロードをどうにかしないと。



「ホラ、此処」



マリアさんが目の前の扉を開ける。
後についてドアを潜ると、肌寒い風が肌に触れた。
…あれ?



「ここ…?」



ドアの先は、客室のドアが並ぶ廊下じゃなかった。
其処は吹き抜けになっている、客船の外側に設置された廊下。
真っ暗な夜空が見えて、少し肌寒い風が肌に触れる。
この先に客室があるのかな。

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