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科学班の恋【D.Gray-man】

第53章 友達の印



冷たくて心地良いプールの中。
上を見上げれば真っ青な空がどこまでも続いていて、まるで青空一面、一人占めしたような満足感。



「なんだ、結構楽しそうに遊んでんじゃねーか」

「あ、ジジさん」



そんな中、不意に飛んでくる声。
見ればプールサイドで屈んで、ニマニマこっちを見て笑っているジジさんがいた。



「そういうテメェが、一番満喫し過ぎだろ」



神田の言う通り。
さっきまで元気よく、あちこちでナンパする姿が見えてたから。



「それで、ナンパのしょうはいは?」

「…聞くな、南」



問えば、ガクリとジジさんは肩を落とした。
どうやら全敗だったらしい。



「それよか、腹減らねぇ?折角出店もあるんだし、何か食べに行こうぜ」



確かに、今は強い太陽光が降り注ぐ昼間。
列車内で朝食を済ませてから、何も食べてない。



「そうですね。かんだも、おなかへったでしょ」



言えば答えはしなくても、溜息混じりに神田は私の体をプールサイドに上がらせてくれた。



「リーバーはんちょうはいいんですか?」

「あいつは、そこのカフェテラスで読書中だからな。優雅な昼食でも食べてんだろ」



成程。
班長、読書してたんだ。



「それよか、お前ら何食べる?」

「蕎麦」

「…多分それは望み薄いんじゃねぇか」



確かにこの洋風客船の中に、和食の蕎麦は置いてなさそう…。
ジジさんの後を追って、神田と一緒に出店に向かう。
案の定其処に神田希望の蕎麦は見当たらなかった。



「こう、外で食べる飯って、なんで美味いんだろうなー」

「何処で食ったって、飯は飯だろ。味なんて一緒だ」

「ちがうよ、かんだ。そこは、あじじゃなくてふんいきをあじわってるんだよ」

「そうそう、南の言う通り」



わいわいと雑談しながら昼食を買う。
なんだかこういうの、お祭りみたいで楽しいなぁ。
そう思うと、ついつい口元にも笑みが浮かぶ。

…どうせなら班長とも楽しみたかったな。
そう思うと、やっぱり少し残念だった。

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