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科学班の恋【D.Gray-man】

第49章 海へ



自分の為ではなく、私達の為に誘ってくれたジジさん。
その思いを知れば、邪険になんてできなくて。



「…わかりました」



神田の為にもなるなら。
そう思えば、つい頷いてしまっていた。



「…かんだもプールはいらなくていいから。わたしにつきあってくれる?」



プールに入らなくても、プールサイドでのんびりするだけでも雰囲気は味わえるだろうし。
エクソシストとして教団で働いているけど、神田だってまだ未成年。
本来なら遊びに没頭してもいい年頃なんだ。
顔を真上に上げて、見える神田の顔に問えば。



「……チッ」



面倒臭そうに舌打ちはしたものの、否定の言葉は吐かなかった。
…よかった。

神田だって心を持った人間。
普段どんなに冷徹だなんだ周りから言われていても、人の好意を受け入れるその気持ちはちゃんと持ってるんだ。




















───そう、良い雰囲気でその場は収まったんだけど。



「あの、やっぱりこれはちょっと…っ」

「ワンピースだから下手に露出してねぇし。色も子供過ぎなくていいだろ」



いつの間にレンタルでもしてきたのか。
ジジさんに満面の笑みで押し付けられたのは、大きくフリルの段が幾つも付いた真っ黒なワンピース水着だった。

確かにこのフリルなら子供体型は隠れるし、変に子供っぽ過ぎる水着よりは恥は少なさそうですけど!
でも、やっぱり色々と抵抗が…ッ!



「ほら、遠慮すんなって。俺の見立てに間違いはない!」

「みたてとか、そういうもんだいじゃなくて…ッ」



心の問題です、心の!



「そんなに言うなら、俺が着せゴぶッ!」

「!?」



ぐいぐいとワンピース水着を押し付けていた、ジジさんの顔が突如消える。
違う。
上から落とされた拳に、一瞬凹んで視界から消えたんだ。






「……何やってんだジジ…」






ゆらりと、まるで背後から立ち上る殺気が見えるかの如く。
握り拳を作ってその場に立っていたのは。



「リ、リーバー…色々と誤解だ、お前…っ」

「覚悟はできてんな。歯ァ食い縛れ」

「待っ…!」



静かに怒りMAXで青筋立てた、リーバー班長だった。



……うん。
神田の不機嫌MAXより、遥かに怖い。









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