第44章 新たな任務
「それと、」
不意にコムイ室長の目が私に向く。
「南くんも、同じくアジア支部に赴くように」
「………え?」
私も?
…え、なんで!?
いきなりの飛び火に、思わず困惑する。
確かに勝手に検査書作ったのは悪いと思いますけど、私より神田の方が重罪なんじゃ…!?
「折角作ったんだし、この検査書はズゥ老師に見せるよ。もし許可貰えれば、これからは南くんに六幻の検査任せられるかもしれないし。老師の腕前をじっくり見てきてご覧」
いやいや、私なんかがそんな重大な責任負えません!
「もしかしたら、アジア支部に持ってく手間も省けるかもしれないし。そしたら楽でしょ」
自分の楽さの為に、そんなことサラリと決めないで下さい!
「む、むりですよ。そんな…わたしなんかが…っ」
「大丈夫、自信持って。南くんの真面目に仕事に取り組む姿勢を、評価してるんだよ」
「それは、ありがたいですが…っ」
だってそうなると、神田と二人でアジア支部に行かなきゃいけないんでしょ?
………。
無理無理!
絶対、無理!
こんな暴君と二人旅なんて、威圧感だけで殺されます!
「わたし、こんなからだですし。いろいろもんだいが…」
「大丈夫だよ、ただアジア支部に行くだけなんだから。AKUMAもイノセンスも関係ない」
ですよね、そうですよね…っ
室長の言葉が正論なだけに、言い返せない。
どうしよう。
非常にまずい。
本当に行きたくない。
私、神田の扱い方知りませんから…!
「あの、室長。お言葉ですが、流石にこの二人だけで行かせるのは問題あります」
天の助けとは、正にこのこと。
言い難そうに、でもしっかりと意見を通してくれたのはリーバー班長だった。
「南の体もこんな状態ですし。ファインダーか誰か、つけた方がいいかと」
「えー、イノセンス関係ないのに?探索班も中々、人手足りてないんだよ」
期待を込めた目で班長を見る。
この際誰でもいい、神田と二人きりじゃないなら。
班長頑張って下さい、押して下さい!