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科学班の恋【D.Gray-man】

第43章 兄と妹



「…あの」

「なんだ」

「…ものすごく、やりづらいんですけど…」

「邪魔はしてねぇだろ。さっさと作れ」



してないけどね、邪魔。
確かにしてないけどね。

でも、その無言の圧が凄いんですよ…!

自分のデスク用の椅子に何枚も座布団を重ねて、座高を上げた其処に座って検査書作りに取り掛かる。
目の前の机には黒光りしている六幻が置いてあって、そんな私の真後ろには腕組みして椅子に座っている神田がいる。

無言で、じーっと見てくる視線が背中を突き刺す。



「つくりおえたら、おしえるから。たんれんでもしてきたら、どうかな?」



当たり障りなく、笑って問い掛ける。
ほら、暇さえあれば鍛錬してるでしょ。
体鍛えてきたらどうですか。
私も大変助かるんですが。



「つべこべ言わずに、さっさとやれ。刻むぞ」



途端、ギロリと睨まれて瞬時に顔をデスクに戻した。
何をそんなに急いでるんだろう…。
任務は入ってないはずだし。

でも聞けない。
これ以上何か話しかけたら、本気で刻まれそうです。










「───まぁ初めてにしちゃ上出来かな」



時刻は夕方。
あの後、必死にその圧ある視線に耐え続けた。
結果すっかり定時刻になってしまったけど、なんとか六幻の検査書を仕上げることができた。
初めてだったから、しっかりリーバー班長の確認ももらう。



「ありがとうございます」



班長から検査書にサインを貰って、頭を下げる。
これでやっと、ほっと一息。
あの鋭い眼孔の監視から解放される。



「済んだのか」

「うん。どうぞ、もってっていいよ」



頷けば途端に興味を失くしたように、六幻を手に神田は研究室を後にした。
…お礼の一つくらい、言ってくれてもいいんじゃ……ま、いいか。



「でも、なんであんなにいそいでたのかな…」



いくら考えても答えなんて出なくて、まぁいいかと流すことにした。



───この時は。









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