第6章 俺の職場。
ラビが変なことを言うからだ。
「すみません班長、この書類なんですけど。サイン貰えますか?」
「あ…ああ、」
ここ数日、まともに南の顔が見られない。
「ありがとうございます」
書類に目を通して手早くサインする。
その書類を受け取って、頭を下げて自分のデスクに向かう南に内心ほっとした。
クソ、なんだこれは。
まともに仕事できねぇじゃねぇか、これじゃ。
ラビと南が仲良いのは前から知っていた。
でもまさか…ラビが、南にそういう気持ちを抱いてたなんて。
いっつもヘラヘラしていてアレンや神田に馬鹿にされる節があるラビだけど、幾つもの世を跨いできたあのブックマンの弟子だからな。
本心を隠すのは上手いんじゃないかと思う。
"簡単に譲る気はないんで"
あれが本音なのかも定かじゃないが…あれがどういう意図で放った言葉かわからない程、俺も鈍感じゃない。
思い返せばラビが南にくっ付いてる光景なんて、よく見かけるし…あれはやっぱり…そういう意味だよな?