第40章 幼子と暴君
「今回だけだ」
そう言って、がしっと神田が掴んだのは服の襟首。
何が。
「っ!?…おぶッ」
瞬間、ぐんっと急に上がった視界は一回転して、どすっとお腹に鈍い衝撃。
お、お腹が…ッ
「貸しを作るのは嫌いだ。リーバーの所にでも、連れてきゃいんだろ」
貸しって…保管室を開けたこと?
だから六幻を持ってっちゃ駄目だってっ。
でも、そんなこと言い返す余裕もなく。
軽々と神田に担ぎ上げられた自分の体は、その肩にうつ伏せで乗せられている状態。
お腹の衝撃は、どうやらこの肩に乗った勢いらしい。
荒い。
色々と荒い。
本当の子供相手には、こんな乱暴絶対駄目だから。
「ぅ、ぷ…」
お腹への衝撃は、頭痛とか他の痛みとか肌寒さにまるで拍車を掛けるように、嘔吐感なるものが込み上げた。
気持ち悪い。
「も、だめ…」
「っ!?おい、吐くなよお前…!」
ごめんなさい。
……………無理かも。
「テメ…ッ!」
神田の肩の上で項垂れたまま。
その罵声にも虚しく。
5秒後、物の見事にリバースしました。