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科学班の恋【D.Gray-man】

第33章 未熟な想い



"俺は頼りないか"

気付いたら無意識に出ていた言葉。
こんな弱音みたいな言葉は、部下に投げかけるものじゃない。
なのに零してしまっていたのは…南だったからか。



「頼りないなんて、そんな…寧ろ、いつも頼らせてもらってますっ」



その言葉を口にしたと同時に後悔した。
なのに南は予想以上に強く、その首を横に振った。



「班長は上にも下にも、いつも気を配っているじゃないですか。だから…頼らせてもらってるから、なるべく負担になるようなことは、したくないというか…」



勢いは最初だけ。
思わずぽかんと見下ろせば、段々とその声は小さくなって。



「だから、その…頼りなくなんてないです」



俯く顔。



「…すみません」



なんでそこで謝る。



「…南、」



呼べば、僅かに反応するように体を揺らす。
恐る恐る上がる顔。

さっきからビクビクし過ぎじゃないか。
…俺が怒り過ぎたのが原因なんだろうけど。



「あー…悪かった。少しキツく言い過ぎたな」



部下に対して甘い態度はあまり取らない俺だが、今回は少しやり過ぎたと思った。
…周りが見えなくなっていた気がして。

AKUMAの襲撃にあったと聞いた時はひやりとしたが、軽傷だと聞いて安心した。
戻ってきた南の顔や手首には控えめに絆創膏が貼ってあるのが見えて、本当に軽傷だったんだと安心していたのに。
胸にAKUMAの攻撃を受けて一瞬意識を飛ばしたと聞いた時は、流石に黙っていられなかった。

怪我した場所が場所なだけに、視認はできないが…出血の量と意識を飛ばす程の威力を考えれば、それは決して軽視していい怪我なんかじゃない。



「いえ…班長は何も悪くないです。私が、軽率だったので」



首の後ろを掻きつつ、強張っていた自分の表情を緩める。
するとほっとしたように、南の空気も緩むのがわかった。



「いつも厳しくしてくれるのは、私達の為だって…わかってますから」

「…そんなにいつも厳しいか、俺」



確かに部下にあまり甘くしてる気はないけれど。
…そんなにはっきり言われると、流石に気になる。

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