• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第29章 人形劇の果てに



「南さん、じっとしてて!」

「動くなよ、当たるさ!」



視界にそれぞれイノセンスを振るう二人の姿が見えて、私は咄嗟に自分の顔を庇うように両腕で覆った。



ドッ…!



衝撃音。

攻撃の圧でぶれる視界に、腕の隙間から垣間見えたもの。
アレンの左手で体を砕かれ、ラビの鉄槌で頭を潰されるAKUMAの姿。



「ガ、ふ…ッ!」



鈍い悲鳴を上げて、AKUMAの体がカッと光る。
それはAKUMAが消滅する時の光。

やった、倒した…っ?

眩い光の中、潰れたAKUMAの顔が、一瞬。



こちらを向いた気がした。






ドッ…!






衝撃音。

攻撃の圧でぶれる視界に、映ったのは。



「───え」



左胸に突き刺さる、長く鋭い爪。

これ…私の………胸?



「南…ッ!」



糸が切れた人形のように頭から落下する。
ドサリと衝撃は柔らかく、誰かに抱きとめられた。
見えたのは、赤く映える髪。



「…ラ、ビ」



一体今回の任務で何回、この腕に庇ってもらったんだろう。
そんなことを漠然と思いながら見上げた顔は、ここ最近見た中で一番酷い顔をしていた。










───ばいバイ、コマドリちゃん










脳裏を掠めたのは、クロル君が死ぬ間際に聞いた

あのAKUMAの笑い声だった。












/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp