第28章 AKUMAと悪魔
「女性にセクハラは止めてもらえますか」
「…ワタシも女性なんダケド?」
AKUMAを睨んで溜息をつくアレン。
その目が私へと移る。
「心配しないで、南さん。すぐに助けますから」
「…アレン…」
優しく笑うその顔は、いつもの紳士なアレンのもの。
変わらないその姿勢と気遣わせているこの状況に、なんとも言えない気持ちになった。
…私は二人の足手纏いになってしまってる。
「あラあラ、女の子がそんな顔シナイの」
暗い気持ちが顔に出ていたのか。
思いもかけず、そこに励ましの言葉をくれたのは…諸悪の根源、AKUMAだった。
「女の子の死に顔はネ、綺麗な笑顔でなくっチャ」
束の間。
ぎょろりと見開いた目玉は二つ、狂気のように微笑んで。
"みィつけた"
あの時、クロル君が感じた恐怖が体を包む。
どんなに砕けた口調で話しかけてきても、これはAKUMAなんだ。
人を殺すために造られた"悪性兵器"。
「ラビ、どうしますか」
「決まってんだろ、AKUMAを叩く。同時に南の救済」
「ですね、」
ザ、と草原を踏みつける足音が二つ。
巨大な鉄槌と、奇怪な左腕をその手に下げて。
睨み付けてくる二人のエクソシストに、AKUMAは臆することなくにんまりと笑った。
「さァて。ダブルデートと致しまショウ」