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科学班の恋【D.Gray-man】

第27章 真相



「ちょ、ラ…っ、待っ…!」

「なんさー?言葉になってねぇけど」



ぐんぐんと、物凄い勢いで夜空を突っ切る鉄槌の柄。
言葉にしたいのに、悲鳴さえもまともな言葉にならない。
ビシビシと顔に当たる、その強風の所為で。

というかなんで止まらないの!?
地上に出るだけじゃなかったの!?



「うし。此処で下りるさ」

「なん…っ!?」



ぐるりと視点が回る。

棒状の物が凄い勢いで伸びている状態なんか、普通乗り物にはならない。
ただ腕の力だけで体を支えて飛ぶなんて。
ラビが簡単にするから、つい楽な移動法に見えるけど。

簡単な訳がない。
物凄く、荒い方法だと思う。



「ぉ、落ち…っ!」

「大丈夫さ、離さねぇから」



任務初日に聞いたものと同じ台詞を、ラビが吐く。
ぎゅっと後ろから包み込むようにラビの腕が抱きしめてきて、鉄槌の柄を握ったまま地面へと突っ込む。
地面にぶつかる瞬間、ひゅっと鉄槌の柄が器用に上を向く。
勢いが減速した合間を見計らって、ひらりとラビは鉄槌から飛んだ。










「……寿命縮まった…」

「大丈夫さ?」



解放されると同時に、その場によろよろと座り込む。
ぐらぐらと揺れる頭は、唐突な猛スピードのため。



「その移動法、考えたの誰…絶対間違ってる気がする…」

「…大丈夫じゃねぇな。うん」



思わず呻く私に、ひらひらと目の前でラビの手が振られる。

列車から飛び降り下車した時は、ここまでじゃなかった。
一瞬だったあの時と、今とは違うのかもしれないけれど。
だけどそれだけ、アレンの運び方が丁寧だったんだろうなと実感する。

やっぱりアレンは紳士です。
紳士万歳。
紳士は正義。



「でもほら、もう村は目の前さ」

「…へ?」



ほら、とラビが促す先。
顔を上げれば、暗い森の中にぽつぽつと明かりの付いた民家が見えた。

嘘。
一気に飛んできたの?



「アレン達も、村にいる可能性高いと思うし。其処から捜そうかと思って」



成程、それで此処まで飛んできたんだ。



「あ。じゃあ待って。確かジョニーに借りた探知機があったはず…っ」



はっと思いつき、座り込んだまま肩に下げていた鞄を漁る。
ゴーレムは電池切れてるけど、あの探知機なら扱える。

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