第26章 再会
「一瞬だから平気さ」
鉄槌の柄を握らせて、上からぎゅっとラビの大きな手が包んでくる。
ヘラリと笑う顔は変わらない、いつもの砕けた彼の顔。
…この笑顔を見ると自然と体の余分な力が抜ける気がする。
「うし。じゃあ行くぞ」
「うん」
出口である天井の穴を見上げるラビに、つられて視線を上げる。
差し込んでくる光は、落ちた時とは違う薄らとした夜の光。
もう外は真っ暗なんだろう。
ぎゅっと血で染まったファインダーのマントを腕に抱く。
早くこのことを皆に伝えないと。
そして───
あの子の、ことも。
「"伸"!」
瞬間、ギュオッと物凄い速さで体は空へと加速した。