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科学班の恋【D.Gray-man】

第26章 再会



「とにかく、外に出てアレン達と合流するさ」

「え?でもどうやっ」

「"直火判"、」



ゴツッと軽く振るった鉄槌が地面に当たる。
瞬間、ゴウッ!と凄い勢いで目の前で火柱が上がった。



「此処から脱出できるさ」



火柱はあっという間に地面を削り、地下から地上までの穴を貫通させた。
パラパラと黒い灰が舞う中、ケロリとした表情のラビが見える。

…うん。
さっきの炎の蛇、体に当たらなくてよかった。
本っっ当に当たらなくてよかった。



「外…暗い」

「もう陽が暮れたんだろ」



空けた穴から差し込んでくる夜の光は、それでも真っ暗だった部屋の中を照らす。
薄らと暗い光に照らされた部屋は、ラビのイノセンスであちこち焦げ付いていたけれど。



「…?」



光を追うように下げた視線は、地面のその跡を見つけた。



「これ…」

「…どうやら普通の部屋じゃなかったことは、確かさな」



大きく丸く削られた跡はどこか歪な模様のようだった。
なんだろう、魔方陣みたいな。
宗教的な思想を持つ村だからこそ、なんとなくそこに繋がる。

丸い歪に削られた模様。
その縁に立った人々が、まあるく中心を取り囲んで。






"だれが駒鳥 殺したの"






唱えるように歌う姿。

それを"儀式"と彼らは言った。



「………」

「南、」



あの一瞬垣間見えた光景が、フラッシュバックのように頭に蘇る。
じっと模様を見下ろしていると不意に名前を呼ばれた。
顔を上げれば怪訝に見てくる翡翠色の目と重なる。



「ううん、」



首を横に振って、大丈夫だと笑いかける。
私は大丈夫。
あの痛みも恐怖も、全部あの子のものだから。



「ならいいけど…。ん、」



槌に足をかけてラビが手を差し出してくる。
その姿は任務初日に電車から飛び降りた時の姿と重なった。
あの時は不安感が先立ってその手を取れなかった。

だけど。



「…失礼します」



その手を握って同じように槌に足を乗せる。
多少ぎこちなかったものの、ちゃんと握ることのできた手に、不思議と安堵に似た気持ちが広がっていた。
それだけラビとの間にできてた溝を、埋められたってことかな。

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