第26章 再会
「っ…!」
一瞬で体に纏わり付いていた、重い"何か"が消え去る。
反射で目を開ければ、其処に見えたのは。
「ぁ…っ」
物凄い勢いで私の周りを、長い炎の体をうねらせ飛ぶ巨大な蛇の姿だった。
まるで守ってくれるかのように、長いとぐろを私の周りに巻いて炎の蛇が音もなく吠える。
チリチリと、僅かに髪の毛先がその熱気で焦げ付く。
そんなことにも気付かないまま、私は其処から目が離せないでいた。
「……ラビ…」
巨大な鉄槌を地面に突き立てて、大きく息つく彼の姿に。
「はー、間に合った…」
スゥ、と静かに消えていく巨大な炎の蛇。
ラビのイノセンスから繰り出されたそれは、私だけ無傷に周りの瓦礫や岩肌を燃やし尽くしていた。
「見つけんの大変だったさ、マジで焦った」
唖然と座り込んだままの私に、傍に寄るラビが覗き込むように屈み込む。
「怪我はないみたいさな。ん、それ着せててよかった」
「…というか、ラビの方が傷だらけなんだけど…」
それ、と言ってラビが私に着せた団服を見る。
確かに団服のお陰か、体には火傷の気配なんて微塵もない。
でも安堵するラビの方こそ、なんだか体中擦り傷だらけだった。
「ちょっとな。AKUMAを一匹片付けてたから」
「AKUMAが出たのっ?」
「もう倒したから問題ないさ」
慌てて声を荒げれば、予想していたのか落ち着けとラビに制される。
「それより急に目の前から消えんなよな。手品師じゃねぇんだから」
両肩を掴まれ、はぁあ~っと大きく溜息をつかれる。
そう言うラビの額には、走ったのか汗が滲んでいた。
多分…必死に捜してくれたんだ。
そう思うと、じんわりと胸が熱くなった。