第25章 駒鳥回り
「───…」
ずるずると、暗い何かに意識が引き摺り込まれていく感覚。
右も左もわからない。
ただただ真っ暗な闇に堕ちていくようなそんな感覚の中。
「南、動くなよ」
凛とした声が、突如その場に響いた。
目を固く瞑っているから、それが誰なのか確認はできなかったけれど。
「劫火灰燼(ごうかかいじん)、」
この声も。
この言霊も。
私は知ってる。
反射的にぎゅっと羽織っていた団服の前を合わせて、顔を伏せる。
「"火判(ひばん)"!!!!」
瞬間、
ゴゥッ!と凄まじい程の熱気と音が、一気に私の周りを舞った。