第23章 声
「アレン達、心配してるかな」
「だろうな。あっちでもなんか情報が見つかってりゃいいけど」
「そうだね」
暗闇に慣れてきた目は、ぼんやりと道の輪郭やラビの背中を映す。
周りを見れば、ぼんやりと岩肌の道も見える。
多分其処に転がってるのは、行方不明者達の衣類や身に付けていた物。
其処で何か蠢くものなんて見えない。
見えないけれど。
───くすくす
まるで風の音のように一瞬で儚い音。
それが耳元に届いて、ぞわりと背中が粟立った。
"また"だ。
「っ…ねぇラビ、もうそろそろ着く?」
「それ、5分前にも聞かれたけど」
「ご、ごめん。早く着きたくて」
「気持ちはわかるけどさー」
前を歩くラビは、何も変わらない。
多分…聞こえてない。
最初は空耳かと思った。
風の音のような微かな"声"。
でも二度目はそうじゃなかった。
最初は凄く小さな音だった。
なのに、段々とはっきり聞こえてくるそれは。
"あなたは だぁれ"
あの赤い夕日に照らされて、古い館の中で聞こえた"声"と同じ。
子供の笑い声のような。
「………」
怖い。