第22章 暗闇の中
「あ。でも神田が怒り任せにコムリンに放った六幻の攻撃を、人魂と勘違いした時はビビってたね」
「うわ、それ思い出さなくていいさ。てか人魂とか最初に言ったの南だったろ」
「そうだったっけ。でもあれ、青白い光だからそう見えてもおかしくないでしょ」
「だからって、霊的なもんに例えるのはやめて欲しいさ」
てかさ、思い出話は楽しいんだけども。
辺りは真っ暗な、薄気味悪い地下迷路。
「…此処で幽霊の類の話はやめねぇ?」
知ってます?南さん。
怖い話してると、幽霊って本当に近寄ってくるらしいんさ。
「怖い?」
「敢えてする話でもないだろってこと」
後ろで少しだけ笑う南の気配がして、ぎゅっとオレの手を握る小さな手に力が入った。
「ごめん」
「いや、別に怒ってはねぇんだけど…どした?疲れた?」
「ううん。もうそろそろ着く?」
「半分は過ぎただろうな。記憶が正しければ、だけど」
「そっか」
じゃあ早く行こう、と南が急かす。
その声は妙に明るい。
南も怖がりな一面あるし、多分この状況で感じる怖さを振り払おうとしてんだろうな。
そう感じて、握った手を再度確かめるように握り直した。