第21章 迷路
「多分此処にある骨は全部、行方不明者のもんさ」
「…AKUMAの仕業?」
「わかんねぇ。でもこの仏さんは…恐らく連絡の途絶えたファインダーだな」
血に濡れた骨の塊を見下ろす、ラビの顔が険しくなる。
「そしてこいつを殺った奴は、相当イカれた奴だってわかる」
「なんで?」
「…肉が削り取られてる。これは獣に食われた跡じゃない」
わざわざ肉を削って骨だけにしたってこと?
想像してぞっとする。
そんな異質なこと、する者がいるんだと思うと。
そんな悪趣味なことをするのは、余程の異常殺人者か…やっぱり、
「AKUMA?」
「……わかんねぇけど、その可能性はあるかも」
神隠しの正体はAKUMAかもしれない。
その仮説に不安が過ぎる。
なんでこんな所に、人の骨が大量にあるのか。
理由なんて単純。
殺した者が此処に捨てたから。
つまり彼らに手をかけた者は、この場所を知っている。
「此処は危険さ。別の場所に移ろう」
今、ラビはイノセンスを所持していない。
そんな状態で、こんな地下でAKUMAと出会おうものなら命が危ない。
踵を返すラビに賛同して彼の後を追う。
「………」
一瞬、足を止めて振り返る。
咄嗟に血に濡れたファインダーのマントを手に取った。
彼の死をトマさんに伝える為にも、持っていかないと。