第20章 骸
どことなく小さな亀裂が入ったままだった、ラビとの関係。
無事解決した訳じゃないけど、その笑顔の仮面を取ることはできた。
よかった。うん。
本当に。うん。
…うん。
だけど。
「…………ここ、どこ」
「明らかに上の屋敷より敷地広くね…?」
アレンじゃないけど、若干路頭に迷い中。
否、地下迷路に迷い中。
というか心が迷い中です。
こんな真っ暗でじめじめした所、早く出たいのに…!
「こんな迷路だったら、大人しくあそこで待ってたのに…!」
「なら今から戻るさ?結構な距離歩いて来たけど」
「嫌です」
簡単に戻れる程の時間じゃない。
もうそろそろアレン達も様子見に、屋敷に迎えに来てくれる頃かも。
「しっかしなんの為に作ったんだ、これ。雑な造りの割には、しっかりしてるし」
コンコンと、ラビが近くの剥き出しの岩の柱を拳で叩く。
「…?」
その時、不意にまたあのきな臭い臭いが鼻を掠めた気がした。
辿るように視線を巡らせる。
迷路のように細い通路を何度も通ると、一定の間隔で広い部屋に出る。
今いる場所も少し開けた場所で、あちこち無造作に瓦礫や木屑や色んな物が散らばっていた。
昔この屋敷に住んでた人が使っていたのかな…?
「ラビ、此処見て。こっちにも通路がある」
臭いを辿るように進めば、小さな通路の入口が見えた。
他の通路と違ってそんなに長い道じゃない。