第1章 俺のお姫様(ユーリ夢)
今日も少し早めに部屋を出る
起床の時間にはまだ早いけど、その分マチ様の寝顔を独り占めできるから
ーートントン
控えめに叩くが、案の定返事はない
『マチ様、入るよ』
ドアを開ければ、カーテンから薄く光が溢れてはいるがまだ薄暗い部屋の中に、スースーと寝息を立てるプリンセスがいた
ドアを閉め、無意識に鍵をかける
ベッドまで歩を進めると、昨夜寝苦しかったのか掛布が足元にあり、ネグリジェの裾や胸元がはだけているマチの姿があった
(うわ、今日はいつにも増して……)
ベッドの縁に座り、そっと顔にかかる髪を払う
ん…と声がしたが、起きる気配はなかった
(無防備すぎるよマチ様…)
頬に手を添えて軽く触れるだけのキスをした
ちゅっというリップ音がやけに大きく部屋に響く
少し身動ぎしたものの、余計にはだけた胸元がユーリの理性を壊そうとする
今すぐ深く口付けて、自分のものにできたならどれだけ楽なのかとーーー
そんな邪念を振り払うかのようにベッドから立ち上がると、シャッとカーテンを開けた
「おはよう、マチ様」
そう声をかければ、眠そうに目を擦りながらも必ず起きるプリンセス
「ん~おはよう、ユーリぃ…」
寝起きにも関わらず、にっこりと穏やかな笑顔を向けられ、俺は今日も
『執事』という役をこなすんだ
end