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名探偵は甘いのがお好き

第16章 大切な一つ


食べられちゃったver.

今、目の前には悪魔がいる

「竜崎…?貴方が持っているそれは…?」

私の前にいる竜崎の手にはしっかりとチョコの包みが握られている

しかも開封されている
しかも残り一個になっている!!!

限られたコンビニで、しかも季節限定で今の時期しか買えないチョコ
毎年自分が楽しみにしているチョコ

確かに冷蔵庫に名前を書いて入れておいたはず

その証拠に無残にも私の名前が書いてあるフィルムは竜崎のわきにあるゴミ箱にしっかりと捨ててあるのが見える

L「あぁ、ちあき、これとっても美味しかったです」

そう言って最後の一粒を口に入れる竜崎

「え!?なんで!?なんで?普通食べないよね!?人の名前が書いてあるもの食べちゃダメでしょ!し、しかも最後の一つ…え?なんで?」

目の前で食べる人いる!?
普通「すみません」とか言って最後くらい私に返してくれてもよくない!?

「竜崎…ひどい!ちゃんと返してくれなきゃ許さないから!」

我ながら何て子供なんだ、と呆れるが
それでも好きなもので、値段は安いけれど本当に希少価値が高いのだ、どこのコンビニでも滅多に売ってない
そんな物をとられたら誰だって怒る、、はずだ

L「………すみません」

あまりの私の剣幕にびっくりした顔をした竜崎はシュンとうな垂れ謝ってくれた

実際私は悪くないのだが、子供っぽいのを自覚しているせいか良心が痛む

「う、、いいよ、もう」

するとパッと顔を上げた竜崎は…笑っていた
演技に騙された!?

L「では必ず同じ物を用意しますので、今日はこれで」

そう言って近づいてきた竜崎に唇を奪われた

ちゅ…とろり

「!!!」

口の中に広がる甘いもの

L「ね?」

ね?って可愛く言ってもダメ!
そんな私の叫びは口からは出なくて
代わりに出たのは「ふぁぁ…」と気の抜けた声だけだった

竜崎の中で溶けたチョコはいつもの何倍も甘かったなんて誰にも言えない


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