第24章 有名人
人混みの向こうで何か物音がすると
先ほどまでの物々しい雰囲気とは打って変わり
黄色い歓声が響き渡る
(あぁ、やっぱり)
ちあきは後悔する
これは事件では無くただのファンの集団だと気がついたから
気が付き慌てて出ようとするが時既に遅し、前後左右には歓声を上げる女性ばかり
こうなると男性よりも女性のほうが何倍も強く厄介なのは同じ女だからわかる
あれよあれよという間に人に押され標準より小柄なちあきは人の間を縫うようにどんどん前に移動してしまう
すると、ふと抵抗がなくなる
「あれ?え?え?」
ドサッ
転んだ、こんなにも人がいる中で転ぶと言ったら可能性は一つ
最前列まで来てしまったのだ
「ったぁぁ」
受け身も取れず無様に転けてしまった
でもこれでやっと帰れる…
そんなことを考えながら立ち上がろうとすると
?「大丈夫?」
目の前に手が現れた、と同時に悲鳴とも思える叫び声が耳をつんざく