第3章 蓮の葉
「離せっ!秋夜!」
それを見てすぐ飛び出そうとした俺は、秋夜に捕まっていた。
「おいっ!見殺しにす───むぐっ!」
「静かにっ!それに見ろ、死んでねぇよ」
言われた通りに見ると確かに、彼女は生きていた。
ただ、先ほどの男と同じ羽織を羽織った知らない男が3人増えていた。
いや、1人だけ、知ってる人がいる。
「あーあ…」
残念そうに微笑みながら顔を上げたその人は、先日橋で見かけたあの男。
「秋夜、あいつだ。俺が会ったやつは」
こそこそと気配を消したまま秋夜に話しかける。
「あいつ?どれ?あの栗色の?…ふーん」
そうしていると、長髪の男がその手に持った刀を彼女へ向けた。
一瞬で頭に血が登る。
殺気を露わにするとまた秋夜に止められた。
襟巻をした男がこちらを向いた気がするのは気のせいだろう。
ぼそぼそと話している会話は聞き取ることができずに、ただ見守るような形になってしまった。
すると、その女の子は気を失ったのか倒れてしまった。
当たり前だろう、ただの女の子が刃を向けられるなどあまりないのだから。
男達が女の子を持ち上げる時、不意に月明かりに照らされて彼女の顔が見えた。
がたがたと体が震える。
「おいっ!どうした!玻瑠?!」
ズキズキと頭痛がひどくなり、呼吸がうまくできない。
秋夜の声も靄がかかったように遠くなっていく。
そうして、意識を手放した。