• テキストサイズ

蓮の華

第3章 蓮の葉




「離せっ!秋夜!」


それを見てすぐ飛び出そうとした俺は、秋夜に捕まっていた。


「おいっ!見殺しにす───むぐっ!」


「静かにっ!それに見ろ、死んでねぇよ」


言われた通りに見ると確かに、彼女は生きていた。

ただ、先ほどの男と同じ羽織を羽織った知らない男が3人増えていた。

いや、1人だけ、知ってる人がいる。


「あーあ…」


残念そうに微笑みながら顔を上げたその人は、先日橋で見かけたあの男。


「秋夜、あいつだ。俺が会ったやつは」


こそこそと気配を消したまま秋夜に話しかける。


「あいつ?どれ?あの栗色の?…ふーん」


そうしていると、長髪の男がその手に持った刀を彼女へ向けた。

一瞬で頭に血が登る。

殺気を露わにするとまた秋夜に止められた。

襟巻をした男がこちらを向いた気がするのは気のせいだろう。

ぼそぼそと話している会話は聞き取ることができずに、ただ見守るような形になってしまった。

すると、その女の子は気を失ったのか倒れてしまった。
当たり前だろう、ただの女の子が刃を向けられるなどあまりないのだから。

男達が女の子を持ち上げる時、不意に月明かりに照らされて彼女の顔が見えた。

がたがたと体が震える。


「おいっ!どうした!玻瑠?!」


ズキズキと頭痛がひどくなり、呼吸がうまくできない。
秋夜の声も靄がかかったように遠くなっていく。

そうして、意識を手放した。


/ 57ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp