第1章 太郎さんの初恋と苦悩
「あっ 主、お帰りなさい」
「本当だ!!主お帰り」
「ただいま」
病院から本丸に帰ってくると短刀たちが迎え入れてくれた
本来なら庭で遊んでいるのを眺めたかったが今持っている封筒の中には病状や余命が書かれた紙が入っている、それを誰かに見られたらたちまちパニックが起こるだろう、そのため逃げるように本丸内に入った
「はぁはぁ ちょっと疲れたなぁ、せめて封筒が鞄に入ればなぁ」
少し大きめの封筒だったため鞄に入らず手で持って歩いていた、これが鞄に入ったら苦労はしなかった
「まっ しょうがないか」
諦め口調で独り言を呟く、直さなければいけない癖の一つだ
そのまま誰にも会わないことを願いながら進み、自室に音をたてないようにそっと入った