Let's play our music!【うた☆プリ】
第11章 パーティーにて
曲と1つになる。
よく分からないけれど、その言葉でしかその時の私を表せなかった。
曲の強弱が、抑揚が何を伝えたいのかがわかる。
音色の1つ1つに、どんな意味があるのかを身体が勝手に表現する。
楽しい。
言い表せない程の歓喜が、湧き上がる楽しさが、私を貫いた。
そういえば。
私はこの感覚を、前にも1度味わったことがある。
"、あなたのデビューが決まったわ"
そうだ、あれは…。
私がアイドルとして人前に立ったあのライブ。
当時麗奈が曲を提供していたアイドルのワンマンライブの前座をやった時だ。
声が自然と踊った。
私の全身が、麗奈の曲を表そうと暴れた。
その時、私は何をどうやって歌ったかは覚えていない。
でも、終わった後の割れんばかりの拍手と歓声が、世間に受け入れられたことを教えてくれた。
「っ、はは…」
笑いが込み上げる。
どうして忘れていたんだろう。
アイドルだったあの頃は、決して嫌な思い出しかなかったわけじゃないことを。
歌って良かったと思えた、あの日のことを。
「!!」
気付けば曲が終わっていた。
華が私に抱きついて、お疲れ様と笑っている。
周囲からは温かい拍手と、賞賛の声。
私、何を踊ったんだろう。
何も覚えていなかった。
それでも、これだけは言える。
「華」
「ん?どうしたの?」
「私…今日踊れて良かったよ」