Let's play our music!【うた☆プリ】
第10章 彼のための曲
それに気付いたのは、背後で聞こえた友ちゃんの歓声から。
「やったじゃん、春歌!!」
「と、友ちゃん…声が大きいよ!」
そういえば春歌達はどうだったのだろう、そう思って紙に視線を戻したその時、目に飛び込んできたのだった。
春歌は、いつの間にこんなにも成績を上げていた。
私がいろんなことに振り回されている間に、あの子は必死に努力して、経験を重ねてきたのだろう。
そんな彼女の成長が嬉しい反面、自信のあった曲が抜かれていて悔しい面もあった。
「やられちまったな、七海に」
「翔…そうだね」
落ち込んでいたように見えたのか、翔が肩に手を置いてくる。
「でも、次勝てばいい話だから」
「お、言うじゃん、その調子だぜ」
そんな彼を安心させるために口から出た言葉だったが、自分で納得してしまう。
そうだ、次の課題で春歌に勝てるように頑張ればいい。
高め合えるライバルが友人だなんて、最高じゃないか。
「春歌、やったね」
「あっ…ちゃん!」
「でも次は負けないから。もっと良い曲を作ってみせるよ」
「……うん!!」
差し出した握手に元気よく答えてくれた春歌。
そんな彼女と、手に力を込めて笑いあった。
友として、そしてライバルとして。
あなたと接していくという、決意表明だった。